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熊本県牛深市・佐賀・福岡・愛媛編 第九回 平成九年十月二十一日〜十一月二十日
平成九年十月二十一日 牛深
十一月 七日 佐賀
八日 福岡
十一月二十日 愛媛
私には二人の父がいる。
その話はまたの機会にすることにして、弟が父の墓を建てたので牛深に来て欲しいと電話があった。なにしろ牛深は遠い。
交通手段はバスしかない。
熊本から本渡まで行き、それから牛深まで行かなければならない。
交通費も馬鹿にならない。
私はバイクで行くことにした。
弟にはバイクで行くなどとは言えなかった。 きっと父があの世から気を使ってくれたとしか思えないほど天候に恵まれました。
快晴の空の下、快適にやまなみハイウェイを走ります。 対向車両も少なくこんなに気持ち良く走ることはなかなか体験することは出来ません。全国を走った道は「未知」の道のためいったい自分はどこを走っているのかわからない不安があるのですが、この牛深に行く道は何度もバスや車などで知っている道なので特別に快適なのです。
牛深ではたくさんの親戚が私の行動に唖然としていました。弟も私の行動にあきれ顔でした。弟の家に二泊後別府に向かって帰りのことです。
いつも読んでいる大分合同新聞に“歩いて日本縦断している中島豪さん”のことが載っていました。私はその記事をポケットの中に入れていたのです。もしかして出会うかもしれないとの予感がしたので。予感は的中いたしました。リュックサックにカートを引いた男性が歩いていました。「中島さんですよね。」と私が声をかけ、しばらく道ばたに座りこんでお互いの体験談を話しました。
*平成十三年一月二十八日のスポーツニッポンの新聞に“ギネス”に挑戦している中島さんのことが大きく記載されていました。
その記事を偶然にも東京で私は読んだのです。 出会いとは本当に不思議だと感じました。 今でも電話で近況報告をしているのです。 父の墓参りのおかげで歩き旅の中島さんと出会い、握るハンドル心も軽く・と鼻歌を歌いながらの快適な走りです。
たくさんの人に「どこの道が良かったですか?」と尋ねられます。阿蘇地のやまなみハイウェイの『黄金に染まった草原は神々の里』本当にここには神様たちが住んでいることを実感いたしました。この日、平成九年十月二十三日夕日に輝く黄金の草原を小さなバイクに乗っている私は天女になったような体験をいたしました。
そんな事で私にとって一番良かった道は「やまなみハイウェイの阿蘇路」
十一月七日天気が良いので今日は佐賀県の図書館まで走ることにいたしました。
朝八時に自宅を出て日田経由久留米を過ぎ特別苦労することなく、お昼には佐賀県立図書館に到着いたしました。ここでもとても歓待していただくことができました。
今日は仕事もしなければと、佐賀から鳥栖の駅までバイクで走り、駅駐輪場にバイクを置いて列車に乗って別府まで帰りました。
夜はスナックのママになり仕事をいたしました。 翌日八時四分別府発の列車に乗り鳥栖まで行き、待機していたバイクに乗り福岡県立図書館まで走りました。ここでもとても歓待してくださり館内を課長さんがわざわざ案内までしてくださいました。
その後、ただひたすら新田原駅まで走りました。
駅前の駐輪場は有料でした。六百円払いバイクを預け列車に乗って別府に帰りました。この日もスナックの仕事をすることができました。
十一月十九日二十三時五十五分別府発八幡浜行きのフェリーに乗る。
フェリーで同室になったバイク乗りの人とお喋りする機会に恵まれた。東京からバイクに乗って九州を一円して、四国を走り東京に戻る予定だそうです。
八幡浜には夜中の二時に到着だ。
バイクを船から外に出し、五時まで船の中で泊まってよいとのことでその方と二人で船に戻り仮眠しました。早朝五時とはいえ外は真っ暗だ。待合室で夜が明けるまで待機して、夜明けとともに私は松山の図書館を目指して走りました。
松山駅で約束などしてはいないのですが、先程まで一緒だったバイクの彼に会いました。せっかくだから私にお昼をご馳走させてくださいと駅の中の食堂に入りました。
沖縄のさとうきび畑でアルバイトをしながら生活をしていたそうでこれからも全国をアルバイトをしながら旅を続けるのだと話してくれました。 あーもう少し私が若ければ彼のように全国を働きながらの旅をするのに!と目の前にいる若者にジェラシーを感じてしまいました。食後再会を約束してお互いに別れ、私は愛媛県立図書館に向かいました。
十一時半に図書館に到着しました。
今日も仕事をするために三崎港まで走ることにしています。海岸線を快適に走り潮の匂いが心地良く、道の駅伊方きらら館でゆっくり休憩して三崎港までのきらきら輝く大海原を私はカモメになったような壮快な体験をいたしました。
阿蘇路では天女になり三崎路ではカモメになった。
このような体験はやったものにしか与えられないものなのです。
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